高水準の透析を支えるきれいな透析液
人工透析の最も基本的な重要課題は、透析液の清浄化にあります。 体に有害なエンドトキシン(ET:細菌から発生する毒性の高い物質)を除去することなしに、高水準の透析を実現することはできません。
オンラインHDF療法では体に取り込まれる水の量が増える分、使われる水道水が細菌に汚染されていると体に大きな害をもたらすこととなってしまいます。そのため、人工透析では有害なエンドトキシンがどれだけ徹底的に除去されるか、いかにできる限り清浄化された透析液を確保するかが大きく関わってきます。
W-RO×eco Ⅱ Aoでの水処理
2、3段階目のフィルター
当クリニックは透析液の徹底した清浄化を実現するため、施設の建設段階で市にかけあい太い水道管から直接引き込みを行い新鮮で豊富な水を使用しております。院内設備に関しては何段階にもわたるエンドトキシンカットフィルターを設けて、透析液の完全なエンドトキシンフリー化を達成しました。 これにより、すぐれた性能の人工腎臓を自由自在に使用することが可能になり、最高水準の人工透析を透析者に提供できるようになりました。当院で行っているオンラインHDF療法もこの清浄化された透析液があるからこそ成り立っていると言っても過言ではありません。
2、3段階目のフィルター
こやまクリニックが行っているオンラインHDFでは、透析装置にもエンドトキシン除去フィルターが設置されています。 こうして、透析液は皆さまの体に入る直前まで何段階もの浄化をします。
2012年9月22日に行った機械室内部の設備一新にあたっては、A剤・B剤それぞれの溶解装置側面にも精密濾過フィルター2本を設置し、いっそうの透析液浄化を試みました。
そして2023年5月には、機械室の設備を一新し、最新のシステムを完成させました。
エンドトキシン除去状況の日常的な計測で常に水質をチェック
水の清浄化と透析液からエンドトキシンの除去が確実に行われているかどうかを、専用測定装置(トキシノメーター)を用いて日常的に確認しています。
当院では、測定感度以下のエンドトキシン濃度を日々保っています。これは測定装置が「透析液にエンドトキシンが含まれている」という結果を出せないほどに、エンドトキシンゼロ状態に非常に近い数値であること、透析液が極めて清浄化されていることを示しています。
透析用コンソールにも濾過フィルターを設置
ベッド脇に置かれた透析用コンソールの背面には濾過フィルターを2本装着。それまでの経路で繰り返し浄化された水を、もう一度ここで濾過しています。
水質確保加算2の届出
2010年春には新しく設けられた透析液水質確保加算(現在の水質確保加算1に相当)の認定を受けました。診療報酬改定が行われた2012年4月には、過去3ヶ月分の水質検査結果添付を要求される「水質確保加算 2」を申請し、受理されました。
設備の定期点検について
当院で使用している機器はメーカーによる総合的な定期点検を受けています。定期点検には毎月点検、3ヶ月点検、6ヶ月点検、12ヶ月点検の4種類があり、水浄化装置を始めとする重要な設備は故障が起きることのないよう常にチェックを受けています。水を浄化するのに使われる各種フィルターにも交換までの期間を定め、時期が来た時点で交換するようになっています。
現在使用中の装置紹介
当クリニックでは2023年5月に透析液清浄化をさらに徹底するために、下記のように一新しました。定着した高効率透析を維持していく体制を支えています。
【機械室】
ニプロ社 透析用水作製装置
「W-RO×eco Ⅱ Ao」
ニプロ社 多人数用透析液供給装置
「NCS-W」
ニプロ社 A粉末自動溶解装置
「NPS-AW」
ニプロ社 B粉末自動溶解装置
「NPS-BW」
三菱ケミカルアクア・ソリューションズ 透析用水エンドトキシン吸着フィルタ
「PYROPURE」
クラレ社 エンドトキシンカットフィルタ キャラクターC
「C-40-HR」
【検査機器】
和光純薬工業 透析液中エンドトキシン測定装置
「トキシノメーターミニ」
日本光電 臨床化学分析装置
「CHM-4100」
ノバ・バイオメディカル 汎用血液ガス分析装置
「スタットプロファイル フォックス」
【透析室】
ニプロ社 透析用コンソール
「NCV-3」 (全34床に対し34台設置)
ニプロ社 精密濾過フィルタ
「CF-609N」(NCV-3の背面に2本設置)
ニプロ社 NCS-W専用ナースモニタ
「NCS-NM2-M」
ニプロ社 透析情報管理システム
「DiaCom iP」
オンラインHDFの効果
最も毒性の強い尿毒素は、中分子量以上の大きな分子です。しかし普通の血液透析(HD)療法では小さな分子を除去するにとどまるためにそうした毒性の強い尿毒素を十分には取り除くことはできず、様々な症状を引き起こす原因となってきました。
一方、大きな分子量の尿毒素をも十分に取り除く最良の血液浄化法が、この新しいシステムの血液濾過透析(HDF)です。実際に、オンラインHDF療法(大量液置換HDF)は透析者の人生の質を大きく高め、寿命も延ばすことが証明されています。
こやまクリニックは全自動システムによるオンラインHDFが一般化する前に建てられましたが、施設自体は全自動化時代の到来を見越して設計されており、無理なく移行することができました。2009年以来、当院では各ベッド脇の装置は専用コンピューターシステムにより自動制御されており、透析の作業過程も自動で進められています。
全自動化のメリットとしては、作業の効率化や人的ミスの抑止が挙げられます。 当システムの導入により個別装置の操作という手間が省け、透析開始前・透析中・透析終了時のいずれにおいてもスタッフが透析者の皆さんにより細やかなケアを行う余裕が生まれました。
ヘモダイアフィルターの使用について
オンラインHDFではかつて通常の血液透析(HD)と同じダイアライザーが広く使用され、5型ダイアライザーとの組み合わせで効果的な治療が施行可能であることが知られていました。
しかしながらオンラインHDFが正式に認可されるのと時期を同じくして、「オンラインHDF療法には従来のダイアライザーではなくヘモダイアフィルター(=血液透析濾過器)を使うべきである」が厚生労働省の見解であるという情報が示され、当院もそれに従いヘモダイアフィルターに移行しました。
移行当初はニプロ社製「マキシフラックス」シリーズ(ヘモダイアフィルター型番「MFX-30U」~「MFX-15E」)を使用していました。
さらに現在は、2022年11月からニプロ社製「ファインフラックス」シリーズに全面的に切り替え、α1-マイクログロブリンの除去率40%超を目指しています。
主治医による体調管理と綿密な透析方針
主治医である院長 小山 年勇は毎週平日、終日診療に従事し、皆さまの体調を回診いたします。全透析者との「対話ある医療」を実践することで、透析・生活にわたる心身全般のケアを目指しています。さらに各種検査結果が出ると全てに目を通し、記録をつけ、普段から細かく把握している各透析者の体調にどのような変化が出たかを調べます。週末にはカルテや透析記録を総確認し、次週以降の透析方針を立てています。
透析専門医、腎臓内科専門医、内分泌内科専門医によるサポート
月・火・水・木曜日は、透析専門医、腎臓内科専門医である院長、副院長ならびに東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科の専門医が回診、血液検査、その他のデータから綿密に各自の透析をメインとした治療方針を決めていきます。
心臓血管外科専門医、循環器内科専門医によるサポート
金・土曜日は東京大学医学部附属病院ならびに東邦大学医療センターの教授・准教授ほか医師らが、診察・検査にあたっています。主治医である院長と緊密な連携をとりながら透析者の診療にあたるほか、心臓・血圧の検査を行って異常がないかどうかをチェックします。透析者は心疾患にかかることが多いため、こうした院内での専門医による検査・診断体制を整えることで、より安心して通院していただけます。
外部専門医の紹介
透析以外の専門的医療が必要な場合は、各分野で実績のある専門医を紹介しています。
どなたにも安心して施設を利用していただけるよう、バリアフリーの実現に努めました。施設内だけではなく、道路から院内に入るまでの入口付近も含めて全ての場所で段差をなくしてあります。廊下や透析室のベッド間隔も配慮していますので、車いすをご利用の方でも安心して来院することができます。エレベーターは鏡つきの車いす対応タイプです。トイレも障がいのある方に安心して使っていただける専用バリアフリートイレをご用意しました。
こやまクリニックでは、透析者の日頃のストレスを和らげる空間を提供できるよう努めています。 安全で広々とした空間、窓からの明るい日ざし、季節ごとの緑や花は当院を訪れる皆さまを癒しています。
透析室は住宅地に囲まれた静かな場所にあります。自然光を充分に取り入れた明るく広々とした透析室には、1本の柱も立っていません。これは通常何階建てもの構造物に使用する非常に太い鉄骨を組むことで実現しました。
さらに内装の色調を吟味し、照明・空調の位置は圧迫感を与えない配列を心がけるなど、細心の配慮によってより一段とリラックスできる環境を目指しました。34床あるベッドについても、これまでの経験をふまえて照明の位置や冷暖房の風向との関係を考慮に入れた上での配置としています。各ベッドにはイヤホン端子付きの液晶テレビを備え、気兼ねすることなくのんびりテレビ番組を楽しめるようになっています。
こうした広々として動きやすい施設は、スタッフのために働きやすい環境を整えることにもつながります。透析者のやすらぎと安心を生む施設を維持していくことも、透析医療の質と並んで大切なポイントかと思います。
白が基調の明るい待合室
玄関ホールから受付と待合室が見えます。待合室は自然光のさしこむ明るい空間で、クリニック中庭の植栽に面しています。透析を受けるまでのひとときを、四季折々の草花をながめながらのんびり過ごしていただけます。
玄関靴箱・更衣室ロッカー
玄関靴箱、更衣室ロッカーともに各人専用となっています。更衣室のロッカーについては各自に鍵をお渡しし、専用荷物置き場としてご使用いただく形です。靴ロッカーも場所が決まっており、自分用のスリッパを入れておくことができるようになっています。
お手洗い
無機質なトイレではなく、温かみがあり日常と変わらぬリラックスできる雰囲気に包まれた内装のトイレをご用意しました。洗面スペースは高さと広さを介助に配慮したものとなっていますので、安心してお使いいただけます。
階段スペース
玄関から透析室に向かう階段スペースにも大きなガラス窓を取り付け、自然の日ざしが入り込む明るく暖かな空間としました。
2月中旬、院長が自ら育てている蘭が花の盛りを迎えると、待合室やこの階段スペースに色とりどりの胡蝶蘭が並べられ、とても華やいだ雰囲気になります。
天然木の手すり
院内の手すりは、全て木工所に依頼し天然木を削って作られたものです。
自然の木目と色合いが白を基調とした内装に温かみを添えてくれます。